雨に強いストリングって

春先の雨が多いこの季節。
よく「雨に強いストリングでお願いします」と依頼されます。
小雨でも気にしないでプレーできるから、というのが理由。
ナチュラルじゃなければ大丈夫なんでしょ?と聞かれます。
確かにナチュラルは濡れると痛みが目に見えてわかります。
水分が繊維の中に入ると膨れてほつれやすくなります。
道端に落ちている雑誌で例えると、雨で濡れるとぶわーっと
膨張します。そして乾いても元のかたちには戻らず、膨れた
ままになっていますよね。
腸の繊維を束ねてねじり、糸に仕上げているナチュラルは
膨れてしまうと本来の性能は発揮できません。
それならナイロンやポリエステルはどうでしょうか。
化学繊維の製品は水分をほとんど含まず、水に浸けても
吸収することもありません。水に弱かったら化繊製ウエアは
洗濯できないことになります。つまり雨に強いはずです。
ところがストリングとしては別の面で問題がでてきます。
確かに水分には影響されないのですが、ボールが濡れると
重量が重くなります。重いボールを打ちかえせばストリングは
大きくたわんで、通常よりも多いダメージを受けます。
つまり、早くゆるむわけです。
小雨で少々プレーしてもそれほど影響はありません。
ストリングは網状に張られているので雨をキャッチする
箇所より抜けるほうが多いですから。コートが濡れるまでは
それほどナーバスになる必要はないでしょう。
それよりも雨上がりで濡れたコートでプレーすることが危険。
ボールがみるみる重くなってストリングを痛めつけます。
クレーコートでのプレーのほうがストリング早く切れたり
打球感が鈍くなるのは、知らず知らずうのうちにボールが
湿っていくからなのです。
結論としては、雨に強いストリングはありますが、濡れた
ボールに強いストリングはないのです。
やむを得ず雨天でプレーしたら、ストリングは張り替えを
するべきと思ってください。