どん詰まりの糸
go for it ! ではカウンセリングをしてプレーヤーに最適の
ストリングをコーディネートしています。
その人のプレースタイルや使用フレームにおいて、目指す
打球感のなかでもっとも適しているストリングをチョイス。
次回張替時に「もっとこのフィーリングがほしい」感想を
聞いて、さらに突き詰めた張り方やストリングを探します。
そうしてたどり着いた完成形は、そのプレーヤーにしか
合わないほどまでとなり、無二の相棒になるわけです。
しかし、ストリングの種類には限りがあります。
「さらにもうちょっと」のリクエストに応えようにも、
張ってある以上のモデルが存在しないと限界となります。
それが「どん詰まりの糸」と呼ばれるもの。
たとえば「モノフィラメント系」で一番「打球感がしっかり」
していて「コントロール性良好」なモデルを探している場合、
ゴーセンのAK PRO 16をチョイスしました。
それ以上のものはちょっと見当たりません。
ポリエステルやハイブリッドでは打球感やスピン性能で
希望のフィーリングにはなりません。
そこからさらに上を目指しても適した製品がないのです。
ああメーカーがもうちょいシャープな改良品を出してくれれば。
いや、同じモデルでゲージをちょっとだけ細くしてくれれば。
1.31mmと1.22mmの間の1.28mmって出せるでしょ?ねぇねぇ…
などとグチっても、ないものはない。
残念なことにモノフィラメント市場は成熟の域に達していて
それ以上の性能の新製品は出そうにありません。
できるとしても「それ求める人多くないよね」と後回し。
さらにポリエステル市場に押されていて、ナイロンモノを
使用するプレーヤーが減少する傾向にあります。
数でない製品は廃番になるご時世。市場なきところに投入なし。
そのためにどん詰まりから脱却できる可能性は皆無。
メーカーが余裕持っていたバブルのころ、テニスがブームだった
ころ、ナイロン系ストリングが全盛だったころなら可能性も
あるでしょうが、いまではそれも叶わぬ夢なのです。
どん詰まりの糸をなくすには、張り替え需要を増やすか
単純にテニス人口を増やすかして、メーカーが元気になること。
そうすれば隙間の性能の糸も世の中に出現します。
う〜ん楽しくなります、マニアのわたくし(笑)。
ストリンガー澁谷はこの姿勢で仕事をしています。