フレームの作り方
ざっくり書きすぎたのでちょっと細かく説明しましょう。
以前台湾の工場を視察したときの記憶なのであいまいな
ところもあります。さらに昔の工程なので現在では進歩している
可能性もあります。ざっくりよりはましな程度と思ってください。
まず原料になるカーボン繊維を化学会社から仕入れます。
日本なら東レのようなメーカーをイメージするといいでしょう。
糸状の繊維を編んで布状にします。それを裁断して畳くらいの
大きさにします。それを重ねて丸めたチューブ状にしてフレームの
外壁を作ります。昔は中に発砲ウレタンが充填されていました。
今でもソリッドコアなどの名称で採用されているモデルがあります。
最近のフレームはほとんどが中空構造です。中から膨らまして
壁を作るために、ビニールチューブのようなものを内蔵します。
百貨店の入口にある傘のビニールカバーみたいなものです。
フレームのグロメット穴からのぞいているビニールの切れはしは
これがはみ出たものです。
フレームの金型にカーボンチューブをはめこみ、タイ焼きのように
焼きます。金型はフレーム設計ごとに違うので、工場には廃番に
なっていない限り膨大な数のストックがあるでしょう。
焼きあがった黒いカーボンだけのフレームが出来上がります。
それをサンドブラスター(砂研磨)の中できれいな表面にします。
塗装では下地処理のあとに塗料を吹きつけます。そしてロゴや
デザインなどのシールを貼り付けます。さいごにクリア塗装をして
見た目が完成します。
グロメットを入れるための穴をドリルで開けます。フレームの
設計に合わせて、指定された場所の穴を全方向からガリリっと
開けます。そしてグロメットを差し込み、グリップを巻きあげて
ほぼ完成。
重さやバランスなどを測定して、基準値内におさまっていたもの
だけが出荷されるのです。
フレームの重さはシートの密度で決まります。
重い規格は繊維が詰まった編み具合のシートで作ります。
軽いのは密度がうすいシート。
そのモデルの本当の打球感は、重い規格でこそ味わえるはず。
工場ではいろいろなメーカーのフレームを作っていました。
テニスだけでなくスカッシュなどもありました。
自社でフレームを作るメーカーはかなり少数派なんですよ。