昔のラケットにポリエステルって合う?
コメントで投稿があった質問ですが、興味深い内容なので本ブログで
回答します。
昔の名器だったプリンスのグラファイトやウィルソンのプロスタッフに
ポリエステル系ストリングは合うかという疑問。
たしかに現在のフレームに比べて圧倒的にパワーはありませんね。
ストロークをしてもスピードは見劣りするし、サーブも抜けるような
エースは出にくい印象です。
その当時のテニスはコントロールとトップスピンが主流で、その
スタイルに適合したフレーム造りをされているのが理由です。
そりゃ、めちゃめちゃボールが乗っかりますよ~。
現在は反発性に優れて、軽量化による振りぬきがよい、ドライブが
かかるように設計されているフレーム。
反面、球飛びがよすぎるのと、ハードにインパクトをするために面の
安定性が不安定になりやすいのと、こすり切れやすいという弱点も。
それに適合するためにポリエステル系が流行りだしたのです。
では、そのポリエステルはどんな性能?
振動が多く、反発性能・スピン性能は低いが面の一体感があり、
縦糸のずれにくさで切れにくい特徴があります。
ひっぱたいたときに真価を発揮できるストリングです。
昔の名器に張るなら、その飛ばないフレームに飛ばない糸を
セットするわけですから、普通に考えたら相性が悪い。
しかし「それこそ求めていた抑えた球飛びだっ!」と感じる人なら
相性はよくなります。昔のフレームは、当時硬いとされていた
モデルでも、今に比べれば「ぐんにゃり・ばたばた」としています。
しなりが多く面がねじれる印象があるのです。
それにしなやかとは言えないポリエステルストリングをやや固めに
張ればしゃきっとします。すごい一体感を味わえそうですねぇ。
さすがに振り切れる腕っぷしがないとつらいでしょう。それでなくても
昔のフレームは重量が重めです。しかし、その重量が振動を減衰する
効果がありますから、案外相性が悪いとも言いきれないわけです。
おっと、振れるならの前提ですよ。
ベテランテクニシャンになると、重量があるしなるフレームにかなりの
ローテンションでストリングを張る傾向があります。
通常より10ポンド下げは普通。20ポンド下げくらいはザラ。
そんな人にはポリエステルは最適です。
ゆるくしても飛びだして行かずに、面安定性は抜群。多くの場合
振動止めが必須になりますが…。
スイングは振るというより打ち止める感じ。ボディターンだけでラケットを
運び、体重移動が神業という人なら相性は最高かもしれませんよ。
私を含めてローテンションでポリエステルを張る人は当店には
多くいます。ほとんどの人がクラシックなフレームコンセプトの
ラケットをチョイスしているので、あながち昔(系統)のラケットに
ポリエステルは合わないわけではないということがわかります。
結論:プレーヤー次第で最高の相性になる可能性アリ
“昔のラケットにポリエステルって合う?” に対して2件のコメントがあります。
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どの糸がいいかというと、ここからはそのプレーヤーによって変わってしまいます。フレームやプレースタイル、体力などさまざまな要素をカウンセリングしてから、それに合わせてチューンした上で張り上げる。ここから先はお店でじっくりご相談することが必要でしょう。TCSも悪くはないと思いますが、いわゆるポリエステル系の中では異質なタイプなので検討を要しますね。
こんにちは。長文でのご紹介をいただきましてありがとうございます。
「プレーヤー次第で最高の相性」。なるほどそうですか。私はまだポリを使いだして半年ほどで、ポリは飛びを抑えるためのガットで、低いテンションで張っては意味がないのではと思っておりました。ですので渋谷様のお店にもそのようなお客様が何人もおられるというのを伺って、またポリの新たな可能性を感じた次第でございます。
でもそこにはやはりそれを理解したプレースタイル、打ち方というのも必要になってくるようですね。ポリという新たなガットを使って古いラケットを使いこなす。これもまたテニスの楽しみの一つであると思います。ありがとうございました。
で、お店ではそのようなラケットを使用されるユーザーに人気のガットってございますか。個人的にはポリファイバーのTCSなんか使えそうではと思っておりますが。