ラケットは語る

先日、常連さんの知人のラケットをあずかって張りました。
その知人のプレーを見たことはありませんが、本人は常連さんの
ラケットの仕上がりがうらやましくなり「自分のも張ってほしい」と
依頼してきました。
電話で軽くリクエストを聞き、なんとなく好みのイメージをつかみ、
後日、実際に渡されたラケットを見て「こんなプレーをしているんじゃ
ないかな」と推測しました。
そんなことができるのかって?
使用しているラケットは持ち主を雄弁に語ります。
本人に自分のプレースタイルを聞くよりも、打球感の好みを聞くよりも
ラケットを見るほうが的確に把握できるほどです。
もちろん情報は多いほうがイメージしやすいので、本人のコメントが
重要です。しかしその求めているものと実際のプレーが同調して
いるかというとかけ離れていることもしばしば…。
そんなときは直接会話でのカウンセリングで落下点を決めないと
いけません。本人の希望を活かすか、そのプレーを修正して
もらうかがカギになりますね。
さて、今回の依頼者の特徴はグリップの細さと汚れ具合とその場所。
これによってどんな握りでどんなスイングなのか、どのくらいのパワー
なのかが大体わかります。
張ってあったストリングの減り具合を見て打ち方とパワーを判断。
張ってある硬さを測定して、聞いてあった好みの打球感から推測して
導いた結論は「強いリストワークでちょい遅れ気味にハードに打つ
クセがある」「しかし体勢が十分な場合は強烈にするどいドライブが
打てる」だろうということです。
張ってあったストリングの感想を聞いてあるので、それよりも適合の
可能性があるモデルをチョイス。
依頼者に合ったテンションと張り方で仕上げて渡しました。
常連さんに「彼はこんな打ち方してるかな?」と推測イメージを伝えて
おきました。
数日して知人から報告。
「すごく使いやすくてよかったそうです。なんで打ち方までわかるのか
すごく不思議!さすがプロですねって言っていましたよ」
自分のプレースタイルがある程度固まっている人なら、使用ラケットを
見ればその情報が多く詰まっています。もちろん上手い下手まで
わかっちゃいます(笑)。
初めての張り替え来店の際には、切れてない状態がベスト。
切れていても外さないで持ってきてくださいね。
ラケットに持ち主のことを聞いてみますから。